| 今月の注目のアクター | 板尾創路 |
|---|
いたお・いつじ…1963 年生まれ。大阪府出身。’86 年に蔵野孝洋(ほんこん)と130 Rを結成。近年は個人活動がめざましく、コントやバラエティのほか、役者としても多くの作品に出演。’09 年だけでも『空気人形』『女の子ものがたり』『蘇りの血』『ラッシュライフ』『ニセ札』などの映画に出演している。
’09年/日/94分/監督・脚本・主演:板尾創路/出演:國村隼ほか/配給:角川/角川シネマ新宿シア
ターN渋谷ほか全国ロードショー
物言わぬ脱獄王・鈴木の真の目的とは!?
どんな拘置所や刑務所に収容されても、一言も口を利かず、いとも簡単に脱獄する鈴木雅之(板尾創路)逃走後は必ず線路の近くであっさりと捕まり収監されては脱獄するの繰り返し。鈴木から漂う異質な匂いに気付いた看守長の金村(國村隼)は、刑期が長大し、囚人の終の棲家と言われる「監獄島」送りが決まった鈴木の警護を申し出る。そこで“脱獄王”の真の目的が明らかになる!
誰もマネできない存在感で、芸人の枠を超えて活躍する板尾創路。30本以上の映画に出演してきた彼がいよいよ、というよりも、ようやく映画監督デビューする。「いつか監督の話はくるやろなとはなんとなく思っていましたけど、言われたのは突然やったんで、即答はできなかったですけど。『自分主演でやらせてもらえるなら撮ります』と返事しました。俳優さんに演出したことないんで、最初は自分かなと。自分のことなら自分で分かるんで」
そう言い切るだけあって、この映画で板尾は俳優としてネクストステージに立ってしまった。これまでの芝
居ではどこか「板尾創路っぽさ」に監督が甘えている気がしたが、この鈴木役にそれはない。寡黙でどう猛な生き物が、スクリーンの中にいる。「自分がゼロから作り上げたキャラクターですから、逆に、完全に僕なんじゃないですか? 台詞もないし、気持ちだけでやりましたし。現場に入って、カメラの前に立って、何も考えず動いただけです。もちろん、他の役者さんとの絡みがあるからこそ、そういう芝居になったんだと思います」
相手役の看守長・金村を演じてほしいと、彼が切望したのは國村隼。「最初にイメージしたのが國村さん。
それからはもう、他の人はまったく考えられなかったですね。お願いしてみたら、他の映画が決まってて難
しいと言われたんですけど、それが運良く飛んで、スケジュールをもらえました。その時点で『大丈夫やな』
と、この映画が見えました」
なぜ脱獄を繰り返すのだろう? という興味と、芸達者な役者たちの演技が導くのは、シリアスな脱獄エ
ンターテインメントの世界。しかし、「さすが!」とニヤリとさせられる仕掛け、そして爽快感&カタルシスの
ある予想外のラストが待っている。「芸人なのでドタバタコメディみたいなものを求められているとは思い
ましたけど、僕はシリアスに撮りたかった。それが作っているうちに自然と、流れで笑える作品になったの
が面白いと思います。完全なる男映画なのに、女性の評判がいいのも嬉しい誤算。女性と観たらきっと、そ
の後、ええ感じになると思います」





